【広島】知られざる名銭湯、日の出湯
広島市の安芸区矢野には、知る人ぞ知る広島が誇る名銭湯がある。
広島駅から4駅、呉線の矢野駅からは徒歩10分ほど。
風情のある日本家屋が並ぶ細い道を歩いていくと、レンガの煙突が見えてくる。
(日の)出湯
戦後すぐに建てられたおそらく広島市内で営業している銭湯では最古。築70年近くとは思えないほど外観はキレイだ。ハイカラ洋館風な風呂屋。
ここ矢野はかつて“かもじ” の生産で栄えた町。
“かもじ”というのは簡単に言うと“かつら”のこと。
現代のウィッグのような感覚で、日本髪を結うのに使われた。
明治~昭和初期の最盛期には日本全国の生産量の70%も矢野で生産していたというのだから驚きだ。
川にはかもじを洗うのに使っていたコンクリートの溝が残っている。
今はすっかりサラリーマンと学生のベットタウンと成り果ててしまっている。
寝に帰るだけの街となり、生活感がすっかりなくなってしまっているように思える。
そんな矢野で、終戦直後から湯を沸かし続けているのだ。
夜になると光る!かわいい
斜めの取っ手がついた扉を開けて中へ!
鏡には、今はなき近隣店舗の広告。
浴室は細かいタイルで埋め尽くされている。
余計なものは一切なし。
半世紀以上前から全く変わらない空間で湯につかれるこの幸せ。
今風の設備なんかいらない、ここはこれで完成された空間だ!
シンプルな故に「次はこれ、その次はあっちの浴槽」という風にならないので、心を無にしてお湯につかることが出来る。
マニアックな話だが、入口部から突き出た“ゆ”の看板と内側が2段になっている浴槽は広島銭湯ならではの特徴である。
広島~呉の間にあるので、観光の帰りなんかにでも寄ってみると最高でしょう。
せっかく広島まで来たら、お風呂も“広島仕様”で。